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私の子たちよ、職業や社会的地位に関して、一切の差別をしないことに注目してください30。私たちが(差別や階級主義的なメンタリティなしに)あらゆる職業や社会的地位の中に探し求める価値は、共同体への奉仕であり、そのことにより、社会的にあまり評価されていない仕事ですら、それを引き上げ、偉大なものにすることができるのです。これらのすべての仕事は、全人類の現世的善に寄与します。そして、それらを完全な形で、また超自然の意向で果たすなら(霊的なものにするなら)、主の贖いのみ業にも協力することになり、すべての人々に自身が神の子の大家族の一員であると感じさせることによって、彼らの間に兄弟愛を育みます。
私たちは、誰をも現在いる場から引き抜きません。そこ、主の招きを受けたところで、各自が自分自身とその置かれた環境、すなわち自分がつながっている社会の一部であり自己の存在理由を与えてくれているその環境を聖化しなければなりません。この点においても、私たちは初代キリスト信者と同じ思いを持っているのです。
聖パウロがコリントの信者に書き送ったことを思い出してください。「おのおの召されたときの身分にとどまっていなさい。召されたときに奴隷であった人も、そのことを気にしてはいけません。自由の身になることができるとしても、むしろそのままでいなさい。というのは、主によって召された奴隷は、主によって自由の身にされた者だからです。同様に、主によって召された自由な身分の者は、キリストの奴隷なのです。あなたがたは、身代金を払って買い取られたのです。人の奴隷になってはいけません。兄弟たち、おのおの召されたときの身分のまま、神の前にとどまっていなさい」31。
聖ホセマリアは、知識人たちの社会に及ぼす影響が大きいので、彼らの間にキリスト教的な影響を与えることをオプス・デイ特有の目的の一つに数えていたが(ホセ・ルイス・ゴンザレス・グジョン、ジョン・F・カバデル『オプス・デイの歴史』〈José Luis González Gullón — John F. Coverdale, Historia del Opus Dei, Madrid, Rialp, 2021, p. 56, nota〉参照)、創立当初から、「私たちは大勢の人のためであり、決して大衆に背を向けて生きることはない」(ホセマリア・エスクリバーからフランシスコ・モランへの手紙〈Carta de Josemaría Escrivá a Francisco Morán, Burgos 4 de abril de 1938, en Camino, ed. crítico-histórica, op. cit., p. 250〉)と強調していた。保存されている最も古い文書から、労働者、芸術家、看護士等、あらゆる職業と社会的地位の人に近づこうとする聖ホセマリアの熱意が伝わってくる。エスクリバー神父は、彼らの中からオプス・デイへの所属を望む人が出て来ることを予見していた。例えば、『内的考察』373番(1931年11月3日)には、次の言葉が記されている。「神の助けと聴罪司祭の承諾で、早い時期に選り抜きの労働者の小さなグループができるよう努めよう」(ルイス・カノ「初期のオプス・デイのスーパーヌメラリ(1930-1950)」〈Luis Cano, “Los primeros supernumerarios del Opus Dei (1930–1950)”, en Santiago Martínez Sánchez e Fernando Crovetto (ed.), El Opus Dei. Metodología, mujeres y relatos, Thomsom Reuters Aranzadi, Pamplona, 2021, p. 379〉より引用)。(編者注)
一コリント7・20-24。
…から印刷された文書 https://escriva.org/ja/carta-29/12/ (2025/11/19)