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市民としての権利と義務を遂行することにおける使徒職
私の子たちよ、あなたがたに繰り返したいと思います。あなたがたが実現する特有の使徒職は、福音と使徒的教えに即した、市民としての国への全面的で誠実な忠実さをもって行われます70。その際、法に忠実に従い、市民としてすべての義務を守り、義務の遂行から逃れません。また、共同体の善の中で、すべての権利を軽率に放棄することなく行使します。
この市民権の行使に関する聖パウロの生きた模範が、使徒言行録にあります。全くの誠実さの表れである、臆病な人には傲慢とも思えるような堅固さで、使徒は必要な時に自らがローマ市民であることを明らかにし、その権利を主張し、無為に謙遜を装うことなく、ローマ市民として扱うよう要求します。「ローマ帝国の市民権を持つわたしたちを、裁判にもかけずに公衆の面前で鞭打ってから投獄したのに、今ひそかに釈放しようとするのか。いや、それはいけない、高官たちが自分でここへ来て、わたしたちを連れ出すべきだ」71。
このような毅然とした態度でフィリピの看守に話しました。そして、エルサレムで鞭打たれる寸前にパウロが護民官と交わした会話は、人としての気品に満ちた素晴らしいものです。「パウロを鞭で打つため、その両手を広げて縛ると、パウロは側に立っていた百人隊長に言った。『ローマ帝国の市民権を持つ者を、裁判にかけずに鞭で打ってもよいのですか』。これを聞いた百人隊長は、千人隊長のところへ行って報告した。『どうなさいますか。あの男はローマ帝国の市民です』。千人隊長はパウロのところへ来て言った。『あなたはローマ帝国の市民なのか。わたしに言いなさい』。と言うとパウロは『そうです』と言った。千人隊長が『わたしは多額の金を出してこの市民権を得たのだ』と言うとパウロは『わたしは生まれながらのローマ帝国の市民です』と言った」72。私の子たちよ、コメントする必要はないでしょう。手本にしなさい。
…から印刷された文書 https://escriva.org/ja/carta-29/39/ (2025/11/27)