39

市民と​しての​権利と​義務を​遂行する​ことに​おける​使徒職

私の​子たちよ、​あなたが​たに​繰り返したいと​思います。​あなたが​たが​実現する​特有の​使徒職は、​福音と​使徒的教えに​即した、​市民と​しての​国への​全面的で​誠実な​忠実さを​もって​行われます70。​その際、​法に​忠実に​従い、​市民と​して​すべての​義務を​守り、​義務の​遂行から​逃れません。​また、​共同体の​善の​中で、​すべての​権利を​軽率に​放棄する​ことなく​行使します。

​この​市民権の​行使に​関する​聖パウロの​生きた​模範が、​使徒言行録に​あります。​全くの​誠実さの​表れである、​臆病な​人には​傲慢とも​思えるような​堅固さで、​使徒は​必要な​時に​自らが​ローマ市民である​ことを​明らかにし、​その​権利を​主張し、​無為に​謙遜を​装う​ことなく、​ローマ市民と​して​扱う​よう​要求します。​「ローマ帝国の​市民権を​持つわた​したちを、​裁判にも​かけずに​公衆の​面前で​鞭打ってから​投獄したのに、​今ひそかに​釈放しようとするのか。​いや、​それは​いけない、​高官た​ちが​自分で​ここへ​来て、​わたしたちを​連れ出すべきだ」​71

​このような​毅然とした​態度で​フィリピの​看守に​話しました。​そして、​エルサレムで​鞭打たれる​寸前に​パウロが​護民官と​交わした​会話は、​人と​しての​気品に​満ちた​素晴らしい​ものです。​「パウロを​鞭で​打つ​ため、​その​両手を​広げて​縛ると、​パウロは​側に​立っていた​百人隊長に​言った。​『ローマ帝国の​市民権を​持つ者を、​裁判に​かけずに​鞭で​打っても​よいのですか』。​これを​聞いた​百人隊長は、​千人隊長の​ところへ​行って​報告した。​『どうなさいますか。​あの​男は​ローマ帝国の​市民です』。​千人隊長は​パウロの​ところへ​来て​言った。​『あなたは​ローマ帝国の​市民なのか。​わたしに​言いなさい』。​と​言うと​パウロは​『そうです』と​言った。​千人隊長が​『わたしは​多額の​金を​出して​この​市民権を​得たのだ』と​言うと​パウロは​『わたしは​生まれながらの​ローマ帝国の​市民です』と​言った」72。​私の​子たちよ、​コメントする​必要は​ないでしょう。​手本に​しなさい。

備考
70

マタイ22・15-22、マルコ12・13-17、ルカ20・20-26、ローマ13・1-7参照。

71

使徒言行録16・37。

72

使徒言行録22・25-28。

この点を別の言語で