276

聖母を​かざる​完全性と​特権のもとは​いずれも、​神の​母と​しての​特権です。​この​称号の​ゆえに​マリアは、​無原罪で​生まれ、​恩寵に​満たされ、​常に​処女性を​保ち、​肉体と​霊魂とも​ども​天に​あげられ、​天使と​諸聖人に​まさる​全被​造物の​女王と​して​戴冠されました。​聖母に​勝るは​ただ神のみです。​「神の​母であるが​ために、​聖母は​ある​意味に​おいて​無限の​尊厳と​無限の​善、​つまり神を​所有される」3と​言われますが、​誇張する​危険は​ありません。​このえも​言われぬ秘義を​悟り尽く​すことは​決して​できないでしょうし、​三位一体の​神と、​これほど​親しく​交わる​ことができるように​してくださった​御母に、​充分に​感謝する​ことさえできないでしょう。

​ ​私たちは​かつて​罪人であり、​神の​敵でありましたが、​キリストの​贖いの​おかげで、​罪から​解放されただけでなく、​主と​和解する​ことも​できました。​私たちは​子に​していただいた​上に、​<みことば>に​人性を​与えた​御方を​母と​する​ことさえ​できたのです。​これ以上の​愛、​溢れんばかりの​愛を​注ぐことができるでしょうか。​人間の​救いを​切に​望む神は、​無限の​知恵であらせられ、​み旨を​実現する​方​法は​いくらでも​持っておられた。​しかし、​そのうちの​一つを​選び、​人間の​救いと​栄光に​ついて​疑う​余地の​ないように​してくださいました。​「最初の​アダムが​男と​女から​生まれず​土から​造られた​ごとく、​アダムの​罪の​傷を​癒すべき第二の​アダムは​処女の​胎内に​おいて​形造られた​肉体を​おとりに​なった。​それは、​体に​関する​限り、​罪を​犯した​者たちと​同じに​なる​ためであった」4。

この点を別の言語で