従順

  使徒職の​諸活動に​おいて、​些細な​不従順など​ありえない。

  意志を​鍛練しなさい。​意志を​雄々しくしなさい。​神の​恩寵​(恩恵)の​助けを​得て、​意志を​鋼鉄の​蹴爪のようにしなさい。

​ 強い​意志が​あって​はじめて、​自分の​意志を​捨て、​従うことができるのだ。

  あなたの​従順はのろくて、​消極的、​反抗的である。​その​おかげで、​使徒職は​どれほどの​損害を​こうむり、​悪魔は​どれほど​喜ぶことだろう。

  道具が​芸術家の​手の​中で​意の​ままに​従うように、​従いなさい。​道具は、​立ち止まって、​なぜ​こんな​ことを​しているのだろうなどと​考えない。​良くない​ことや、​こと​ごとく​神の​栄光に​ならない​ことなら、​決して​命令されないと​確信しなさい。

  敵である​悪魔は​言う。​「そんな​〈馬鹿げた​〉些細な​ことにも​従うのか」。​神の​恩寵​(恩恵)を​受けて返すあなたの​言葉。​「この​〈英雄的な​〉些細な​ことにも​私は​従う」。

  イニシアティヴ。​使徒職に​おいて、​受けた​指示の​範囲内で​イニシアティヴを​とりなさい。

​ もし万一、​この​限界を​越えるか、​その​疑いの​ある​場合には、​他の​誰にも​自分の​考えを​述べず、​あなたの上に​立つ人にだけ相談しなさい。

​ あなたは​単なる​実行者に​過ぎない​ことを​決して​忘れてはならない。

  従順が​平和を​もたらさないなら、​それは​あなたが​高慢である​ことの​証拠である。

  頭を​務める​者が​良い​模範を​示さないのは​実に​残念な​ことである。​ところであなたは、​上に​立つ人の​個人的素質の​良し悪しを​見て​従うのか。​それとも、​「あなたたちの​目上に​服従しなさい」と​いう​聖パウロの​言葉を、​あなたが​楽を​する​ために​都合の​よい​解釈を​加えて、​「目上が​私の​好みに​合った​徳を​備えている​時に」と​読むのか。

  ​「常に​従う​人は、​死ななくても​殉教者である」と​書き​送った​あなたは、​従順とは​何であるかを、​実に​よく​理解しているようだ。

  あなたは​不毛で​困難だと​思う​ことを​命じられる。​やり遂げなさい。​そう​すれば、​それが​容易で、​豊かな​実を​結ぶ​ことが​分かるだろう。

  序列。​各々が​自分の​場に​留まる​こと。​たとえベラスケスの​絵でも、​色が​それぞれ自分の​場を​離れ、​カンバスの​糸が​勝手に​ほぐれ、​木の​枠が​互いに​バラバラに​なれば、​一体​どうなる​ことだろう。

  命じる​資格の​ある​人が、​あなた​個人の​最も​成功している​仕事を​手放すよう​命じた​時、​すぐに​そうする​覚悟が​なければ、​あなたの​従順は​その名に​値しない。

  主よ、​彼の​〈抜け目のなさ〉は、​きっと​あなたに​大きな​慰めを​お与えした​ことでしょう。​男らしくしかも​子供のような​優しい​心の​あの​人は、​気分の​悪くなる​ほど嫌な​ことを​従順ゆえに​果たすとき、​当惑を​感じ、​あなたに​向かってささや​いたのでした。​「イエス、​どうか​微笑むことができますように」。

  口の​利けない​人のように​黙って​従わなければならない。​舌に​注意しなさい。

従うのが​辛く​感じられる​今、​あなたの主の​ことを​思い浮かべなさい。​主は​「死に​至るまで、​それも​十字架上の​死に​至るまで​従順でした」。

  従順の​力の​素晴らしさ。​ゲネサレト湖で、​ペトロが​幾度網を​降ろしても、​一匹の​魚も​捕れなかった。​夜通しかけて​働いても、​無駄骨だった。

​ ところが​イエスの​言葉に​従って、​再び網を​降ろしたら、​「おびただしい​魚が​かか」った。

​ 私の​言う​ことを​信じなさい。​奇跡は​日々​繰り返し起こっているのだ。

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